
文化的景観は,地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地と定義されています(文化財保護法第二条第1項第五号)。この文化財は、地域に暮らす人々にとっては当たり前の見慣れた風景がすごい!と気づくことが始まりです。日本の風土は多様で、それぞれの場所で自然と折り合いながら暮らしてきました。それが独特の土地の使い方や場所の表現となり、地域らしい風景となっています。そこに普遍的な価値を見出し、未来に伝える試みが文化的景観です。
本来、文化財はすでに定まったモノやコトに価値を見出し、それをそのままカタチに留めて継承することを目指しています。しかし、暮らしの場は、社会や経済の変化、技術の進化、災害や気候変動に対応して変化させながら続いてきています。変化することが持続力でもあります。文化的景観の保護においては、変化を否定するのではなく、風景を成り立たせている価値が継承される変化を求めます。
すでに全国で74件の重要文化的景観が選定されています。棚田や水郷、漁師町、林業景観など、自然と人の営みとの関係がわかりやすいものもあれば、鉱山町や舟運の拠点、城下町など、現在の風景にその営みのクライマックスが見えにくくなっているところもあります。変化しつつも続く暮らしが生み出す風景の価値の伝え方と守り方を試行錯誤してきています。
塩屋は、塩屋まちづくり推進会の景観ガイドラインでも「眺めは皆のもの」「自然と共に」「あふれだす個性」「親密さ」「雑多なハーモニー」という5つの項目で塩屋の景観を特徴づけ守る試みをしています。山と海の距離が近い斜面地集落と異人館のある漁師町であっても小さく「雑多」な町の発見は、「文化的景観」という観点からは、地域に積み重ねられた営みを読み解くことから始まります。文化財であって地域づくりとつながる文化的景観という新しい試みを知ることは、町にとって有意義なことだと考えトークイベントを開催します。
トークゲスト:
小浦久子(奈良文化財研究所景観研究室 客員研究員)
聞き手:
サラ デュルト(塩屋文学全集編纂員)
松隈章(聴竹居倶楽部理事、竹中大工道具館評議員)
森本アリ(シオヤプロジェクト)
日時:2026年9月13日 (日) open 18:00 start 18:30
会場:旧グッゲンハイム邸(神戸市垂水区塩屋町3丁目5-17)
料金:一般 1000円 U-25・シニア(65〜)割 500円
主催:シオヤプロジェクト・塩屋まちづくり推進会
共催:塩屋音楽会
ご予約:以下よりgoogleフォームにてお申し込みください
https://forms.gle/DthuYgDJhUpzemFp6
お問い合わせ:シオヤプロジェクト
TEL : 078-220-3924
E-mail : info@shiopro.net
小浦久子(奈良文化財研究所景観研究室 客員研究員)
建設コンサルタント会社での都市開発・都市計画の実務を経て、大阪大学、神戸芸術工科大学で研究・教育に携わる。現在は文化的景観や地域の価値を指標とする計画を研究課題としている。文化的景観は「地域のみかた」。最近の文化的景観のフィールドである四万十川流域、和束町、智頭町では、地域のみかたによって、文化的景観と景観計画をつなぐところを支援し、能登の大沢・上大沢の復旧支援では、多様な事業の調整を通じて地域づくりとしての文化的景観に取り組んでいる。


