記録|シオヤプロジェクトの勝手にまち探訪 vol.32+43 鈴蘭台East+Sunrise Sunset編

2024.03.22

naddist慈さんとか、角野さんとか、なんか町歩きをアリさんとやっているよな〜と、傍観していた私に「中尾さんも良かったら是非」と言われたのは、4年ほど前だったか…。
新型コロナ禍が急速に広がる中で、山田町坂本での「勝手にまち探訪」が敢行されたのが2020年4月18日。その翌月、試走しますかね、ということで鈴蘭台のお試し的町歩きをやった。ただ、事務局のアリさんと小山さんに加えて、非常に熱心な常連の参加者の皆さんが、話を聞きつけて「勝手に」ついて来た。
この日は、駅前から松宮(まつのみや)、鈴蘭台第5団地まで広範囲に歩いたのだが、翌年5月19日の「正式な」勝手にまち探訪「鈴蘭台 East編」では東町北町エリアを中心に戦前期の開発エリアを歩いた。
生憎の雨天での開催になったが、神鉄鈴蘭台車庫とその周辺、神戸明石線の高架の下で自己紹介タイムをやってからの、東町の別荘地の面影から1950年代以降の斜面住宅地の形成過程をなぞるように歩いた。途中で、移住して来たアーティストの開いた「ギャラリー」にも立ち寄ったり。小部小学校から貸し農園になっているかつての水田と旧兵庫商業高校西側の小道から神社の高台にアタック。超絶な階段や持ち出し基礎の人工地盤上のアパートなどの絶景を見せて、旧北区役所のあたりもトレースして、町歩きを終えた。
次の年、6月にやった2回目の鈴蘭台の町歩きは、前回の町歩きエリアと背中合わせ的なルートを辿って、Sunrise Sunset…「あさひヶ丘と夕日ヶ丘」な西町の斜面住宅地をメインに据えて、東町から鈴蘭台高校正門に至る70年代斜面マンションや元レナウン下請けだった縫製工場、付け替え前の旧小部川廃川敷も確かめて、住宅地で盛業中な飲食店で食事もして、西町エリアは踏査できたかな、という所。
谷筋ごとで町の表情が変わる鈴蘭台。小学校の時に開拓した人しか通れない抜け道なんかも駆使して、エリアを繋げることができるのも鈴蘭台エリアの町歩きの面白さだと考えている。
因みに、鈴蘭台エリアでは、まだ少なくとも2回分のルートは作れそうである。アリさんからはさらに周辺部に関してもリクエストが来ているのだが、はてさて。
…たかが2、3年の話だが、ここに来て旧兵庫商業高校跡地の再開発を軸にして、駅前地区と小部小学校前を結ぶ都市計画道路事業が動き出して、あの貸し農園は一部を残して現在は学校施設解体時の搬出ルート的な形態で道路に姿を変えて、「カイヅカがアメーバ」(サラ・デュルト)な、あの東町の洋館付き住宅は更地になって不動産屋に売り払われるなど、駅前再開発に加えての町の変化が起こっている。アーカイブ的な要素としても勝手にまち探訪に取り組んで良かった、と考えている。

文:中尾嘉孝 写真:森本アリ

INFORMATION

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 約90年前まで、神戸から山を隔てて遠い山田村小部(おうぶ)は、「神戸のチベット」とも揶揄される山里だった。然し、篤志家の投資で神戸有馬電気鉄道が敷設された時、神戸の避暑地「関西の軽井沢」として売り出され、高原に咲く清楚な花「スズラン」に因み「鈴蘭台」という町に変身した。ダンスホールも立地したが主として西神戸の自営業者が居を構えるようになった「鈴蘭台」は、戦後の住宅不足を背景に民間開発が進んだ。ということで、今回は神戸電鉄線以東の市街地を中心に鈴蘭台別荘地の面影や、山へ伸びていく民間の宅地開発の跡を辿る町歩きです。

案内人 :中尾嘉孝(なかおよしたか)さん

日  時:2021年5月19日(水) 10:00集合 17:00頃解散(途中参加、途中抜けOK)
集合場所:神戸電鉄「鈴蘭台」駅改札前
探索場所:鈴蘭台エリア(神戸市北区)
料  金:500円

主催:シオヤプロジェクト
令和3年度 神戸市・まちの再生・活性化に寄与する文化芸術創造支援助成対象事業

 予約・お問い合わせ:塩屋百景事務局

TEL:078-220-3924 E-mail:info@shiopro.net
※前日までにご予約ください。
※ご参加日、お名前、電話番号、参加人数をご連絡ください。
メールの場合はこちらからの返信をもって予約完了とさせていただきます。

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中尾嘉孝

1970年、兵庫区山田町小部生まれ、神戸市生田区中山手通1丁目出身。15の春、近代化遺産の魅力に開眼、以来、学業、部活、本職、保存活動の合間を縫って、京阪神間を始めとする各地の建築・町並みの「追っかけ」活動に勤しむ。現在、港まち神戸を愛する会世話人、特定非営利活動法人全国町並み保存連盟理事


 

約90年前、「神戸のチベット」と呼ばれた山田村小部(おうぶ)は、神戸有馬電気鉄道の開通と共に神戸の避暑地「関西の軽井沢」鈴蘭台として面目を一新。ダンスホールや商業学校も誘致されるなど、複合的な性格を企図したまちづくりの種がまかれた。しかし、敗戦期を経て、湊川から電車で15分という至近にある立地に眼をつけた海千山千の不動産ブローカーたちが、昭和30年代にまずアパート建設を進め、やがて山一つを買って開発して戸建て住宅地を開発する動きを加速させていった。今回は山を谷を飲み込む民間の宅地開発の跡を巡る町歩きです。

案内人 :中尾嘉孝(なかおよしたか)さん

日  時:2022年6月15日(水) 10:00集合 17:00頃解散
集合場所:神戸電鉄「鈴蘭台」駅改札前(地図)
探索場所:鈴蘭台南町・西町エリア(神戸市北区) ※変更する場合あり
料  金:500円

主催:シオヤプロジェクト
令和4年度 神戸市・まちの再生・活性化に寄与する文化芸術創造支援助成対象事業

 予約・お問い合わせ:塩屋百景事務局

TEL:078-220-3924 E-mail:info@shiopro.net
※前日までにご予約ください。
※ご参加日、お名前、電話番号、参加人数をご連絡ください。
メールの場合はこちらからの返信をもって予約完了とさせていただきます。

中尾嘉孝
1970年、兵庫区山田町小部生まれ、神戸市生田区中山手通1丁目出身。15の春、近代化遺産の魅力に開眼、以来、学業、部活、本職、保存活動の合間を縫って、京阪神間を始めとする各地の建築・町並みの「追っかけ」活動に勤しむ。現在、港まち神戸を愛する会世話人、特定非営利活動法人全国町並み保存連盟会員