塩屋階段10「大谷の大自然を抜ける小道」

2026.03.14











大谷交差点という三叉路がある。大きな高低差のある道路が大きな三角を描く、その三角の一辺に弧を描く側道に入ると、そこから北へ向かう小さな道が存在する。住宅地に囲まれたエリアにひっそりと残った山(森)の真ん中に分け入る小道。突然ハイキング気分になって楽しめる、知る人ぞ知る抜け道。

塩屋の町は7割が私道と言われる。私の自宅前の階段も隣接4軒の共有で、雨水や地下水の流れに心配なことがあり、建設局と水道局に来てもらったが、「ここからそっちは私道なので管轄外となります」「そちらで対処してください」となった。隣人たちと水の道を少し矯正して、公道脇の溝まで水の道をつくることに試行錯誤している。

私はそこそこ楽しんでいるのだが、周りが高齢化するとそうもいかない。同じことが災害につながることもあるだろう。行政も放っておく訳にはいかない時代が来る。でも、この共有部分がコミュニティを生む装置にもなっているということは付け加えておきたい。

大谷交差点の話に戻ると、塩屋の道路状況からすれば、どこからどう見ても私道に見えるこの細道が、じつは公道「塩屋62号線」だった。「塩屋62号線」はずっと道幅1m程度で、人しか歩けないし、半分くらいは土の道。近隣のいろいろな道ができるずっと前からあった山道で里道なんだろう。

この里道は、接道する数軒の家の住人によってケアされていて、少し前から、道の縁に龍の髭や蕗が植えられていたり、竹の垣根が見事なぐらい細かく紐で縛ってあったりする。道の途中に置いてあるDIY竹箒もかっこいい。この公道「塩屋62号線」は、シンプルな街灯に「公道」感があるくらいで、道を通る人と近隣住人の自治が心地よさを生んでいる。ちなみに、知る人ぞ知る「西村組」「合同会社廃屋」の告知等にも使われている家が、この小道の中腹にある。そろそろ土に返りそうだ。

文・写真:森本アリ(旧グッゲンハイム邸|シオヤプロジェクト|三田村管打団?|音遊びの会)